わたしが出して私が仕舞うだけなんだけど、どこからかやって来てまた帰っていってしまうかのような客人。
世の騒動の不安感の中で、それでも私には本の少し、ほっこりとした気持ちが久しぶりに流れた。すると、不思議に余裕が生まれるんだね。後れ馳せながら、たった三日間のためにお雛様を出した。
このお雛様達は遠い昔、母が出掛けた先で出逢って連れて帰ってきたもの。『見て💕』って箱を開ける表情を思い出す。あぁ、今の私の年頃辺りの出来事だったかもしれない。
正式な(?)私のお雛様は超豪華✨とは言えないが5段飾り。弟がよちよち歩きの頃に赤い絨毯を引っ張って雪崩となり、お顔に傷(-_-〆)的な家来も従えたお雛様。髪は結い上げていなく、ふっくらな面持ちのお雛様は、『これが可愛い』と父が選んだのだと聞いた気がする。
実家は3年ほど前に引っ越しをした。その際に、要らぬものは数々手放し、弟の五月人形は処分をしたが、私の雛人形達は残すことにしたらしい。しかし母不在の実家で表に出ることはなく、明日の祭りを扉の中で迎えるのだな。心の余裕はそんなことも思い出させる。
今の仕事を辞めて帰ることがもっと自由になったら、父とお雛様を愛でるのも良い。
目の前のお雛様達も髪を結い上げていない。
無意識に、そう選んだんだろうね。来年は、この子達はコンパクトだから一緒に旅をしよう。
今日はこんな夕食が用意されていた。空気を、張り詰めるのもほどくのも夫。いや、今はそれだけじゃないが、家の空気は緩んで、居心地が良い。
それから。
お雛様を作ってみたい。今年、カナワナカッタコト。お雛様を作ります。